早稲田実 初優勝 駒大苫小牧3連覇の夢消える

 第88回全国高校野球選手権大会(日本高校野球連盟、朝日新聞社主催)の決勝再試合は21日、阪神甲子園球場兵庫県西宮市)で行われ、10年ぶり27回目出場の早稲田実西東京)が4―3で6回目出場の駒大苫小牧南北海道)を降し、初優勝を飾った。駒大苫小牧は、戦前の中京商(現・中京大中京)以来73年ぶり2校目の3連覇を目指したが、かなわなかった。
 再試合は、前日に続き早稲田実斎藤佑樹投手(3年)と駒大苫小牧田中将大投手(同)の両エースが登板。駒大苫小牧は九回、2点本塁打で1点差に迫ったが、斎藤投手に抑え込まれた。20日の決勝は息詰まる投手戦となり、延長十五回1―1で大会規定により、37年ぶりの引き分け再試合となっていた。
 閉会式で脇村春夫・日本高野連会長は「球史にさんぜんと輝く決勝戦に感動した。両チームナインの奮闘をたたえたい」とあいさつした。【野村和史】
 ▽早実OBで80年準優勝投手、荒木大輔・西武投手コーチの話 早実らしく、粘り強い野球だった。投手だけでなく、守備も堅く、打撃も破壊力があり、足の攻撃もできる素晴らしいチーム。OBとして誇りに思い、早実の卒業生で良かったと思う。斎藤投手はボールの速さが魅力だが、それだけでなく、状況に応じてカウントが取れる投手で、相手から見たら打ちにくいと思う。今は十分に体を休め、今後に向け、頑張ってほしい。優勝おめでとう。
 ◇喜びで、頭が真っ白 早稲田実の捕手・白川
 ゲームセットと同時に、早稲田実の捕手・白川はマウンドに駆け出した。エース斎藤に要求した甲子園最後の一球は速球。144キロの力強いボールは、駒大苫小牧・田中のバットに空を切らせ、ずどんと白川のミットに収まった。「歓声が遅れて聞こえた」というほど、一瞬、喜びで頭が真っ白になった。
 斎藤の好投の陰にはいつも白川がいた。全7試合ですべてのボールを受けてきた。ワンバウンドしたボールは体を張って止め、一度も後ろにそらさなかった。七回、田中から空振りの三振を奪った変化球はワンバウンド。しっかりと体の前で止めた。
 中学時代はエース。捕手に転向したのは昨年5月のことだ。和泉監督に強肩と声の大きさを買われ、捕手への転向を促された。「1週間ぐらい悩んだ」。それでも、同じ投手としてエースを争った斎藤の力を誰よりも知っていた。「最高の投手とバッテリーが組めるから」と、捕手への転向を決めた。
 しかし、斎藤のボールは予想を超える切れがあった。低めのスライダーを止められなかった。そこで昨秋から冬にかけてチーム練習とは別にひたすら捕球練習をした。バッティングマシンをワンバウンドするスライダーに設定し、毎日100〜150球も捕球。受け損ねた球が何度も体に当たり、青黒いあざが絶えなかった。それでも厚着した上に防具をつけ、ボールに向かっていった。
 この日は打撃でも斎藤を助けた。六回、2死一塁からやや内角の速球を左翼フェンスに直撃する適時二塁打にした。六回表に1点差に迫られていただけに、斎藤への大きなプレゼントだった。
 再試合の激闘を制しての栄冠。「最後のボールを自分で捕れてうれしかった。あの感触は一生忘れません」。捕手として優勝できたことを心から誇りに思っている顔だった。【長谷川隆広】
 ◇駒大苫小牧 栄冠は手に出来なかったが、確かな自信つかんだ選手たち
 あと一歩で3連覇が逃げ、駒大苫小牧の夏は終わった。
 激戦の最後の打者は、決勝2試合を早稲田実の斎藤投手と投げ合った田中将大投手(3年)。バットが空を切った瞬間、両腕を突き上げたライバルを悔しそうに見つめた。それでも「空振り三振だから悔いはない」。
 チームの道のりは険しかった。昨夏以降2度の不祥事でセンバツも辞退。どん底から支え合って乗り込んだ甲子園だったが、1点差の厳しい試合が続くなど、“王者”の余裕はなかった。
 「3連覇は意識していない。重圧はない」。そう繰り返した香田誉士史(よしふみ)監督の体調も万全でなかった。「南北海道大会から胃が痛く、ふらつくこともあった」。近く検査入院するが、選手たちを気遣って話さなかった。
 試合後のグラウンド。田中投手は涙に暮れる本間篤史主将(3年)の肩をたたいた。「苦しい中でも一致団結して決勝まで来た。胸を張れる」。栄冠は手に出来なかったが、選手たちは確かな自信をつかんだ。
  ◇3連覇の夢 スコアブック静かに閉る先輩球児も 
 2日にわたる決勝2試合を甲子園で観戦した滝正男さん(84)=愛知県日進市=は、目頭を熱くした。「駒大苫小牧のおかげで、亡き先輩の偉業が分かった。立派な試合だった。感謝したい」
 滝さんは、3連覇した中京商(現・中京大中京)の投手で10年前に82歳で亡くなった吉田正男さんの後輩。金属バットの登場などで「3連覇はもう達成できないだろう」と聞いていただけに、壁の高さを誰よりも知っていた。
 中京商は1933年、3連覇目前の準決勝で大会史上最長の延長二十五回にサヨナラ勝ち。336球を投げた吉田さんは翌日の決勝も完投した。一方、滝さんは中京商の捕手として38年センバツで優勝、監督としても54年夏と56年センバツで優勝を経験したが、連覇はできなかった。
 あの夏を再現したかのような今大会の決勝を見届けると、滝さんは計24回の激闘を記録したスコアブックを静かに閉じた。

早実優勝しちゃったかぁ〜。
駒苫に3連覇して欲しかったから何となく残念。。
でも優勝決まった後のエース斉藤くんの涙にこっちもウルッと来たよ。
高校野球ってホンマにいいよねぇー!
今年も何度球児たちからもらい泣きした事か。。
早稲田実業、初優勝おめでとうございまーす☆☆☆